優先道路に左折直後衝突の原告自動二輪車に35%の過失を認めた
【判決要旨】
①左折後の原告自動二輪車と直進被告Y運転、被告V所有の普通貨物自動車の衝突につき、「原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態で車体が本件道路に対しほぼ並行となった状態で、ゼブラゾーンから本件側道に進入してきた被告車の左前部が原告二輪車に衝突し、原告及び原告二輪車は、本件側道の本件交差点出口から約8.85メートル先の路側帯付近に転倒した」と事故態様を認定した。
②過失割合につき、本件事故は、「主として被告Yが、本件突き当たり路よりも明らかに幅員が広い本件道路を走行するに当たり、本件交差点における安全確認を怠った過失により生じたものと認められ、被告Yは民法709条に基づき、被告車の所有者である被告Vは自賠法3条に基づき、原告に生じた損害を賠償する責任を負う。他方、原告にも本件交差点を左折するに当たり、本件道路を直進する車両の安全確認を怠った過失が認められる。そして、原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態であったこと、及び被告車が本件本線から本件側道にゼブラゾーンを横切って車線変更してきたことも考慮すると、原告と被告Yの過失割合は、原告35%、被告Y65%とするのが相当である」と原告に35%の過失を認めた。
③右手関節骨折等から自賠責12級13号認定を受ける44歳男子公務員の原告の後遺障害逸失利益算定につき、「本件事故による後遺障害のため、原告は、業務上必要なパソコン操作に支障を来しているのであり、また、原告の勤務地であるG清掃工場を含め、清掃工場においては民間企業への外部委託が進められていることから、原告が今後転職を余儀なくされる蓋然性も相当程度あるものと認められる」とし、「将来における症状の緩和ないし馴化の可能性も考慮すると、原告は、本件事故により10%の労働能力を10年間にわたり喪失したものと認めるのが相当である」と10年間10%の労働能力喪失により認定した。
東京地裁 平成27年3月6日判決(確定)
事件番号 平成25年(ワ)第31834号 損害賠償請求事件
【事案の概要】
44歳男子公務員の原告は、平成22年7月19日午後9時05分頃、埼玉県内の交差点を自動二輪車を運転して左折後、直進してきた被告Y運転、被告V所有の普通貨物車に衝突され、右手5指末節骨骨折、骨盤打撲、右肘挫創、頸椎捻挫等から自賠責12級13号後遺障害を残し、既払金313万6,830円を控除して1,539万1,586円を求めて訴えを提起した。
裁判所は、直進する車両の安全確認を怠った原告自動二輪車の過失を35%と認定した。
原告自動二輪車と被告Y運転の普通貨物車の衝突につき、「原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態で車体が本件道路に対しほぼ並行となった状態で、ゼブラゾーンから本件側道に進入してきた被告車の左前部が原告二輪車に衝突し、原告及び原告二輪車は、本件側道の本件交差点出口から約8.85メートル先の路側帯付近に転倒した」と事故態様を認定した。
本件事故は、「主として被告Yが、本件突き当たり路よりも明らかに幅員が広い本件道路を走行するに当たり、本件交差点における安全確認を怠った過失により生じたものと認められ、被告Yは民法709条に基づき、被告車の所有者である被告Vは自賠法3条に基づき、原告に生じた損害を賠償する責任を負う。他方、原告にも本件交差点を左折するに当たり、本件道路を直進する車両の安全確認を怠った過失が認められる。そして、原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態であったこと、及び被告車が本件本線から本件側道にゼブラゾーンを横切って車線変更してきたことも考慮すると、原告と被告Yの過失割合は、原告35%、被告Y65%とするのが相当である」と原告に35%の過失を認めた。
右手関節骨折等から自賠責12級13号認定を受ける44歳男子公務員の原告の後遺障害逸失利益算定につき、「本件事故による後遺障害のため、原告は、業務上必要なパソコン操作に支障を来しているのであり、また、原告の勤務地であるG清掃工場を含め、清掃工場においては民間企業への外部委託が進められていることから、原告が今後転職を余儀なくされる蓋然性も相当程度あるものと認められる」とし、「将来における症状の緩和ないし馴化の可能性も考慮すると、原告は、本件事故により10%の労働能力を10年間にわたり喪失したものと認めるのが相当である」として、原告主張額を基礎収入に10年間10%の労働能力喪失により認定した。
判 決
原告 甲野一郎
同訴訟代理人弁護士 宗万秀和
被告 乙山次郎
被告 丙川三郎
上記両名訴訟代理人弁護士 瀧澤秀俊
【主 文】
1 被告乙山次郎は、原告に対し、337万4,166円及びこれに対する平成22年7月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告丙川三郎と、329万8,516円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。
2 被告丙川三郎は、原告に対し、被告乙山次郎と連帯して、329万8,516円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用はこれを5分し、その4を原告の、その余を被告らの負担とする。
5 この判決は、第1、2項に限り、仮に執行することができる。
【事実及び理由】
第一 請求
1 被告乙山次郎は、原告に対し、1,539万1,586円及びこれに対する平成22年7月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告丙川三郎と、1,529万0,586円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)を支払え。
2 被告丙川三郎は、原告に対し、被告乙山次郎と連帯して、1,529万0,586円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
本件は、原告運転の普通自動二輪車(以下「原告二輪車」という。)と被告丙川三郎(以下「被告丙川」という。)所有、被告乙山次郎(以下「被告乙山」という。)運転の普通貨物自動車(以下「被告車」という。)との間の交通事故(以下「本件事故」という。)につき、原告が、被告乙山に対し、民法709条に基づき、人的損害、物的損害及び弁護士費用合計1,539万1,586円及びこれに対する平成22年7月19日(本件事故の日)から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(ただし、下記被告丙川に対する請求の限度で被告丙川との連帯支払)を求め、被告丙川に対しては、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき、被告乙山と連帯して人的損害及び弁護士費用合計1,529万0,586円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 前提事実
以下の事実は、当事者間に争いがないか、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。
(1) 本件事故
ア 発生日時 平成22年7月19日午後9時5分頃
イ 発生場所 埼玉県戸田市<地番略>(以下「本件道路」という。)
ウ 原告二輪車 原告運転の自家用普通自動二輪車
エ 被告車 被告丙川所有、被告乙山運転の普通貨物自動車
オ 事故態様 本件道路において原告二輪車と被告車が衝突した(詳細な事故態様については後記のとおり争いがある。)。
(2) 原告の傷害の内容及び治療経過
原告は、本件事故により、右手5指末節骨骨折、右第4指中節骨骨折、腰部打撲、骨盤打撲、右肘挫創、頸椎捻挫及び右手関節捻挫等の傷害を負い、下記のとおり入通院して治療を受けた。
ア B病院
平成22年7月19日から同月20日まで入院(2日間)
同年9月13日から平成23年1月14日まで通院(通院実日数6日)
イ C病院
平成22年7月21日に通院(実通院日数1日)
ウ D整骨院
平成22年7月23日から同月27日まで通院(実通院日数4日)
エ E整骨院
平成22年11月4日から平成23年1月13日まで通院(実通院日数16日)
(3) 自動車損害賠償責任保険による後遺障害認定
原告は、B病院において平成23年1月14日に症状固定と診断され、平成25年3月4日頃、自動車損害賠償責任保険による後遺障害認定手続において、右手環指PIP関節以遠のしびれ、PIP関節痛の症状について、画像上右環指中節骨骨折後の近位指節間関節面に不整が認められ、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとして、自賠法施行令別表第二(以下「後遺障害等級表」という。)12級13号(「局
部に頑固な神経症状を残すもの」)に該当すると認定された。
2 争点及び争点に関する当事者の主張
(1) 本件事故態様及び過失割合
(原告の主張)
原告は、原告二輪車を運転して、本件道路の左方から本件道路に丁字に交差する突き当たり路(以下「本件突き当たり路」という。)を走行し、上記交差点(以下「本件交差点」という。)において一時停止し、側道からの走行車両がないことを確認して左折した。被告乙山は、被告車を運転して本件道路の本線を走行し、ゼブラゾーンを横切って本線から側道に進入し、その際左前方を注視していなかったため、原告二輪車が左折を完了し、時速20キロメートルないし30キロメートルに加速した地点で、原告二輪車に追突した。よって、原告に落ち度はなく、本件事故は100%被告乙山の過失により生じた事故である。
(被告らの主張)
本件事故は、幹線道路に狭い路地(本件突き当たり路)が交わる本件交差点において、幹線道路を直進する被告車と、本件突き当たり路から出て合流しようとする原告二輪車との出合い頭の衝突事故であり、原告の過失割合は8割とするべきである。
(2) 損害
(原告の主張)
ア 治療費 33万1,330円
イ 通院費 2万5,740円
ウ 入院雑費 3,000円
エ 文書料 740円
オ 物損 10万1,000円
スクーターの破損分10万円及び衣服代1,000円の合計
カ 休業損害 18万4,020円
日額1万8,402円×10日分
キ 後遺障害逸失利益 1,268万3,586円
原告は、本件事故当時44歳であり、本件事故により後遺障害等級表12級13号に該当する後遺障害が残存し、23年間(これに対応するライプニッツ係数13.489)にわたり労働能力を14%喪失した。したがって、基礎収入を日額1万8,401円とし、1,268万3,586円(1万8,401円×365日×14%×13.489)の逸失利益が認められる。
ク 入通院慰謝料 90万円
ケ 後遺障害慰謝料 290万円
コ 既払額 313万6,830円
サ 小計 1,399万2,586円
シ 弁護士費用 139万9,000円
ス 合計 1,539万1,586円
(被告らの主張)
アからオまで及びクからコまでは認める。カ、キ及びシは争う。
休業損害については、日額1万8,402円は認めるが、休業期間は年次有給休暇を取得した5日分のみ認める。
後遺障害逸失利益については、原告の職業が公務員であり減収がないこと、認定された後遺障害は神経症状のみであることなどに鑑みれば、原告に逸失利益は認められない。
第三 争点に対する判断
1 争点(1)(本件事故態様及び過失割合)について
(1) 認定事実
証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、本件事故態様について、以下のとおり認めることができる。
ア 本件道路は、a方面からb方面に南北に走る歩車道の区別のある道路であり、a方面からb方面に向かって幅員3.5㍍の本線(以下「本件本線」という。)が2車線設けられ、その外側に1車線の幅とほぼ同程度の幅員のゼブラゾーンが設けられ、その外側に幅約2.84㍍の側道(以下「本件側道」という。)が設けられ、その外側に幅約0.5メートルの路側帯が設けられている。本件交差点において、本件道路の左方(西方)から、幅員3.8メートルの本件突き当たり路が本件道路に丁字に交差している。
イ 原告は、平成22年7月19日午後9時5分頃、原告二輪車を運転して本件突き当たり路を本件道路に向かい走行し、本件交差点で左折して本件側道の車線中央付近に進入した。なお、原告二輪車の走行時の車高は、ハンドル部分が地上高約96センチメートルである。
ウ 被告乙山は、同時刻頃、幅員約1.69メートルの被告車を運転して本件本線を時速約50キロメートルの速度で走行していたところ、本件交差点手前で本件道路のゼブラゾーンを横切って本件側道に進入した。
エ 原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態で車体が本件道路に対しほぼ並行となった状態で、ゼブラゾーンから本件側道に進入してきた被告車の左前部が原告二輪車に衝突し、原告及び原告二輪車は、本件側道の本件交差点出口から約8.85メートル先の路側帯付近に転倒した。
オ 上記衝突により、原告二輪車は、フロントカバーの右側部分が、地上高50センチメートルのところから上方に向け21センチメートルにわたり破損し、右側前部アンダーカバーが脱落し、左側面に擦過痕が生じるなどした。他方、被告車には、ボンネットの左前部角の地上高105センチメートルから125センチメートルの箇所に最大幅14センチメートルの凹損、フロントバンパーの左側面から15センチメートル、地上高50センチメートルから60センチメートルの箇所に擦過痕が生じ、ボンネット左側に設置されているミラーのガラスが割れた。
(2) 事実認定の補足説明
被告らは、被告車は本件側道を直進してきたのであり、本件本線からゼブラゾーンを横切って本件側道に進入したことはないと主張する。
そこで検討すると、被告車に生じた前記(1)オの損傷のうち、ボンネット及びフロントバンパー部分の損傷はほぼ垂直線上に生じているところ、ボンネットの損傷については原告二輪車にこれと符合する部分がなく、原告の右肘付近が衝突して生じたものと推認できる。他方、フロントバンパー部分の損傷は、原告二輪車のフロントカバー右側の破損(前記(1)オ)と符合し、かかる部分が衝突したことにより生じたものと推認できる。このような損傷状況及び突合状況に照らすと、原告二輪車と被告車とは、浅い角度で衝突したものと認められる。そうすると、衝突時点において原告二輪車は、左折を完了し又はそれに近い状態であったと認められ、この限度で原告の供述は信用できる。
そして、原告二輪車が特に本件道路の左側に寄って左折したという事情もなく、原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態であった際には、原告二輪車は本件側道の車線中央付近に位置していたと認められるところ(前記(1)イ)、本件側道の幅員が約2.84メートルであり(上記(1)ア)、被告車の幅員が約1.69メートルである(上記(1)ウ)ことも併せ考慮すると、衝突時に被告車はゼブラゾーンにはみ出した状態であったことが認められるのであり、被告車が原告二輪車との衝突を回避するためにあえて右にハンドルを切ったという事情もないことをも併せると、被告車が本件本線からゼブラゾーンを横切って本件側道に車線変更してきたことが推認できるというべきであり、左折時に安全確認した際に本件側道を直進してくる自動車はなかった旨の原告の供述は信用できる。
以上によれば被告らの主張は採用できない。
(3) 過失割合
前記(1)のとおり認められる本件事故態様によれば、本件事故は、主として被告乙山が、本件突き当たり路よりも明らかに幅員が広い本件道路を走行するに当たり、本件交差点における安全確認を怠った過失により生じたものと認められ、被告乙山は民法709条に基づき、被告車の所有者である被告丙川は自賠法3条に基づき、原告に生じた損害を賠償する責任を負う。他方、原告にも本件交差点を左折するに当たり、本件道路を直進する車両の安全確認を怠った過失が認められる。そして、原告二輪車が左折を完了し又はそれに近い状態であったこと、及び被告車が本件本線から本件側道にゼブラゾーンを横切って車線変更してきたことも考慮すると、原告と被告乙山の過失割合は、原告35%、被告乙山65%とするのが相当である。
原告は、本件事故は被告車による追突事故であり、原告に過失はないと主張する。しかし、前記(1)のとおり認められる本件事故態様、ことに原告及び原告二輪車の転倒地点が本件交差点出口から8.85メートル先であり、衝突地点はさらに本件交差点に近い場所であったと認められることからすると、本件事故は、少なくとも原告二輪車の左折完了後間もない時点において発生した出合い頭衝突と認められるのであり、原告においても直進車の安全確認を怠った過失を免れない。したがって、原告の上記主張は採用できない。
2 争点(2)(損害)について
(1) 被告乙山に対する請求
ア 治療費(争いがない) 33万1,330円
イ 通院費(争いがない) 2万5,740円
ウ 入院雑費(争いがない) 3,000円
エ 文書料(争いがない) 740円
オ 物損(争いがない) 10万1,000円
カ 休業損害 9万2,010円
原告の収入日額1万8,402円を基礎として休業損害を算定することについては当事者間に争いがない。そして、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、原告が、本件事故後平成22年7月26日までに5日間の年次有給休暇を取得した事実が認められるところ、同期間について本件事故と相当因果関係のある休業と認めるのが相当である。上記期間を超えて原告が休業したことを認めるに足りる証拠はない。よって、原告の休業損害は9万2,010円(1万8,402円×5日)と認められる。
キ 後遺障害逸失利益 518万6,175円
(ア) 原告の本件事故前年(平成21年)の収入は785万9,311円であったと認められることも踏まえ、原告の逸失利益を算定するに当たっては、原告が主張する671万6,365円(日額1万8,401円×365日)を基礎として算定するのが相当である。
(イ) 前記第二の1(3)認定によれば、本件事故により、原告には、後遺障害等級表12級13号に該当する後遺障害が残存したものと認められる。
ところで、原告は、F組合において勤務する地方公務員であって、本件事故前年(平成21年)の収入は785万9,311円、翌平成22年の収入は795万4,996円であり、本件事故後に減収は生じていない。しかし、本件事故による後遺障害のため、原告は、業務上必要なパソコン操作に支障を来しているのであり(原告本人)、また、原告の勤務地であるG清掃工場を含め、清掃工場においては民間企業への外部委託が進められていることから、原告が今後転職を余儀なくされる蓋然性も相当程度あるものと認められる(原告本人)。
以上に加えて、将来における症状の緩和ないし馴化の可能性も考慮すると、原告は、本件事故により10%の労働能力を10年間(これに対応するライプニッツ係数は7.7217)にわたり喪失したものと認めるのが相当である。
(ウ) 以上によれば、原告の後遺障害による逸失利益は518万6,175円(671万6,365円×10%×7.7217(円未満切捨て。以下同じ。))と認められる。
ク 入通院慰謝料(争いがない) 90万円
ケ 後遺障害慰謝料(争いがない) 290万円
コ 小計 953万9,995円
サ 過失相殺後の残額 620万0,996円
前記1(3)の判断を踏まえ、前記コから原告の過失割合35%を控除した。
シ 既払額(争いがない) 313万6,830円
ス 弁護士費用 31万円
本件事案の内容、審理の経過等の諸事情を考慮し、原告に生じた弁護士費用のうち31万円を、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。
セ 合計 337万4,166円
(2) 被告丙川に対する請求
原告の被告丙川に対する請求は、物損を除く前記(1)アからエまで及びカからケまでの小計943万8,995円から原告の過失割合35%を控除した過失相殺後の残額613万5,346円から既払額313万6,830円を控除し、本件事案の内容、審理の経過等の諸事情を考慮し、原告に生じた弁護士費用のうち30万円を、本件事故と相当因果関係のある損害と認め、以上合計329万8,516円が認められる。
第四 結論
以上によれば、原告の請求は、被告乙山に対し337万4,166円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告丙川と、329万8,516円及びこれに対する遅延損害金の限度で連帯支払)を求め、被告丙川に対し、被告乙山と連帯して329万8,516円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度でそれぞれ理由があるから認容し、その余はいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。なお、被告らの仮執行免脱宣言の申立てについては、その必要が認められないからいずれも却下する。
(口頭弁論終結日 平成27年2月6日)
東京地方裁判所民事第27部
裁判官 山岸秀彬