交通事故被害者が,まず最初に注意することを教えて下さい。
Ⅰ 物損事故(通常の場合)
- 車両価格の査定でもめることよくがあります。被害者は高く評価し(例えば150万円),加害者は低く評価します(例えば100万円)。そして,修理費の査定が120万円ですと,被害者は修理可能と判断しますが,加害者は修理不能と評価します。
この場合,後日,裁判になり,車両価格が110万円と認定された場合,修理費用150万円でなく110万円しか支払われませんし,修理期間(1か月とします)中に借りた代車費用も買換えに必要な2週間程度しか支払われません。
よって,修理費150万円を支払って修理する場合,全額は回収できない危険性を理解しておく必要があります(140万円の車を購入した場合も同じ)。 - 過失相殺でもめることもよくあります。車両修理費100万円のところ,被害者は1:9を主張し90万円を要求し,加害者は3:7を主張し70万円しか支払わないと反論します。
この場合,後日,裁判になり,過失相殺が2:8になると,加害者は80万円しか支払いません。結果,修理費用100万円全額は回収できない危険性を理解しておく必要があります(90万円の車を購入した場合も同じ)。
詳しくは」物損事故で何が賠償される」を確認ください。
Ⅱ 人損事故の場合(通常の場合)
- 人損事故の場合,交通事故に理解がある医師を,「最初から」選ぶことが絶対必要です。重篤な後遺障害が残る事故であればともかく,最も多く問題になる「むちうち」案件では,最初の医師と後医の見解を比べます。最初の医師の見立てが軽いと,後医がいくら痛みの残存等を認めてくれても,後医の認める痛み等は「事故からしばらくして起こっているので事故と因果関係がない」と評価されてしまいます。結果,後遺障害が付きません。同じ症状にもかかわらず,後遺障害が認められる人と認められない人がいます。
よって,交通事故に理解がない医師を変更するのは,できるだけ早くする必要があります。詳しくは「後遺障害等級はどうやって認定されるか」を確認ください。 - 「むちうち」症などで,医師にいってもよくならないので,接骨院等だけに通っている,という人がいます。保険会社も推奨します。それは,接骨院では後遺障害がつかないので,賠償を低く抑えられるからです。
よって,接骨院等だけでなく,必ず医師に通院する必要があります。そこで,1に述べたように,早く,交通事故に理解のある医師に通院する必要があります。詳しくは「後遺障害等級はどうやって認定されるか」を確認ください。 - 忙しいので通院ができない,という方がおられます。止むを得ないことではありますが,後遺障害の認定を得られない,慰謝料も低くなることを覚悟しておかなければなりません。
- 後遺障害は原則6月以上通院しませんと認定になりません。詳しくは,「治療費は必ず支払われるか」を確認ください。